借金はわずか5年間返さなければ時効成立?!

キャッシングを利用してお金を借りたら、決められた利息を加えて返済せねばなりません。貸金業が改定されて、これまで年利20%を越えていた、いわゆるグレー金利が払拭されてきたとはいえ、お金を預け入れる金利に比べると、借りる際の金利は遥かに高額です。おまけに金利というものは、商品を購入する場合などと違って、支払った後には何も残りませんし、借金を完済するまでは、いつまでも支払い義務が発生し続けます。借りずに済むものならばそれに越したことはありません。金利というものは、そういうものです。

とはいえ、いったん借りてしまったら、当初の契約通りに、非常に高額な金利を支払っていかねばなりませんから、出来るだけ早く完済してしまう事が最も重要ですし、そんな事は言われるまでも無いでしょうけれど、それでも金利の支払いが精一杯で元金が全く減らず、いつまでも借金を完済出来ない状況に陥っている人が少なくありません。そしていつしかその利息すら、支払うことが困難になっていきます。

大昔になりますが、筆者は学生時代に、引越しセンターのアルバイトをしていました。その頃に何度か、夜逃げの方の手助けをしたことがあります。夜中の12時に2トントラックで現場に乗りつけ、必要な家財道具だけをそそくさと積み込んで出発するのです。お客は非常に神経質になっていて、高速道路に乗ってからすぐの出口でいったん下り、ぐるっと回ってまた同じ高速道路に乗るように指示を受けたりしました。尾行が無いかを心配しておられるのです。

当時は世の中の仕組みなどよく分からず、こんな風に逃げたところで、どうなるものでも無いし、いつまでもそんな生活が続くわけも無いだろうになあ、などと思ったりもしましたが、実はほんの5年間、行方をくらませているだけで、借金の返済義務が無くなるのでした。それはいわゆる「時効」というものです。

犯罪に時効があるように、借金の返済にも時効があり、金融業者から借りた際の時効は5年間と決められています。その間に、一切の返済を行わなければ、時効が成立します。1万円でも返してしまうと、時効期間はリセットされてしまいます。お金を返したという事で、債務を認めたと判断されてしまうからです。民事訴訟を起こされて、給料などを差し押さえされた場合でも同じく、時効期間がリセットされますし、取立ての電話に対して、苦し紛れにでも、「必ず返しますから」などと返答しただけでも駄目。とにもかくにも、1円も返すことなく、借金を認めるような言動もなく、ひたすら5年が経過し、その後、「時効が成立したので借金の支払い義務が無い」という旨の文書を、内容証明で債務者に伝えることで、晴れて借金の返済義務が消滅するわけです。

そこまで聞くと、なるほど時効を目指すには、夜逃げしか無かったのかもなあと思いますが、人間、ひとりで生きているわけではありませんし、契約時、保証人になってもらった方にも迷惑が掛かりますから、それが得策だとはとても思えません。くれぐれも借金を甘く考えず、やむなく利用する際には、計画的な返済を肝に銘じておく必要があります。

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